人よりも繊細で敏感なHSPの方は、仕事選びにもかなり慎重になる方が多いかと思います。
自分の今いる職場に疲れていて転職を考えているけれど、何から手をつけていいのか分からず、次々と不安が生まれ新しい環境へ踏み出すことに戸惑ってしまったり…
しかし、HSPの方には気質を活かせる働き方や仕事もあるのです。自分の天職が見つかったら今より仕事が楽しくなることでしょう。
今回の記事では、以下について解説します。
- HSPが仕事が続かない理由
- HSPが仕事をする上で気をつけるべき点
- 自分に合った仕事を探す方法
- HSPに向いてる仕事・向いていない仕事
この記事を読めばあなたにとっての天職を見つけるためのヒントが得られるはずです。
HSPが仕事選びで気をつけたい点とは?
生まれつき多くの繊細な特徴を持つHSP。働いていく中でも様々なことに悩み苦労する方は多いようです。
そんな悩みに繋がりやすい仕事選びで気をつけるべきポイントがあります。
意味や意義を見出せない長時間労働
HSPの方は、夜遅くまでの残業や終電まで仕事…のような長時間労働の職場は向きません。
人一倍気が遣えていろんな刺激をキャッチするため、人より疲れやすい側面があるからです。エンジンがかかっているときは気にならなくても、気が抜けた瞬間にどっと疲れが押し寄せてきたりもします。
繁忙期は仕方がないにしても、毎日のように遅くまで残らないといけない環境は避けたほうがいいでしょう。
刺激の強い職場環境
光や音、匂い・温度といった環境状態に影響を受けやすいHSPの方は、避けられる刺激からは意識して離れるのも働きやすさを求めるうえで大切です。
不特定多数の人と接する必要がある、スピードを求められる、ノルマや売上目標が厳しい、などの環境は強い刺激になり、体力的にも精神的にも疲弊してしまう原因になりかねません。
人間関係のストレス
人間関係もHSPの方の働きやすさに大きく影響します。
ほどよいコミュニケーションがとれる職場であれば、お互いを知ることで信頼感や安心感が生まれ仕事に対し前向きに取り組めます。
ですが、逆に人間関係に問題があると、HSPの方がもつ特性の共感力の高さや空気を察する力が反応してストレスを感じることが多くなるでしょう。
HSPは職場環境もとても大切
HSPの方は職場で心に疲労を感じることが非常に多いです。気遣いや緊張など仕事内容ではないところで心が疲れてしまったり…
では、職場環境について、どういった面を意識すると働きやすさにつながるのでしょう。
マルチタスクが必要な環境は苦手
じっくり時間をかけて一つの物事に取り組む特性がHSPにはあります。
つまり、マルチタスクを求められる環境にいることはHSPの方にとって大きな負担になるため注意が必要です。複数の業務を同時並行して進めていくことによりパニックを起こしてしまったり、集中力の低下で些細なミスを繰り返してしまったりなど、本来の力を発揮しづらくなります。
大勢の人と関わることが多い環境は苦手
HSPの方は周囲への気遣いも人一倍。
接客業のような不特定多数の人と接点を持つ仕事は他者への言動に過敏になり気疲れしてしまいます。
また、大勢の人の中にいることは緊張状態が続き、多くのストレスに繋がります。
ルールが明確でマニュアルがあると安心
HSPの方は、深く考えて行動します。
そのため、ルールが曖昧な環境では「これをやっていいのか?」「あれはやってもいいのか?」と些細なことまで考えてしまい、自分で判断し行動をすることが難しくなります。
そのため、HSPの方にとっては細かくルールがあるくらいの環境が働きやすさに繋がります。
また、仕事内容についてのマニュアルがあれば困った時に自分自身で確認できたり、上司への相談回数も減らせたりするため、精神的にラクになります。
一人で集中できる環境
一人で集中することでやっと力を発揮できるHSPの方は多いです。
周りに配慮しつつ、自分の仕事に没頭できる環境を求めることは悪いことではありません。
職種にもよりますが、相談しやすい上司や職場の人がもし居るのであれば一般的になりつつある自宅でのテレワーク勤務を申し出てみることや職務に集中するための耳栓・イヤホンの使用許可をもらうなどの提案をしてみると自分が集中しやすい環境に近づけます。
HSPが天職を見つけるための5ステップ
ここまで、HSPの方が仕事選びで気をつけたいポイントをお伝えしていきました。
しかし、いざ天職探しとなると何から手をつけていいのか分からず、難しく考えてしまいますよね 。具体的に天職というものを見つけるためのステップを1つずつご紹介していきます。
Step1.まずは自分について理解しよう
人によって、性格や気質は様々。HSPの気質だけが自分自身の性格の全てというわけではなく、HSP以外の性格も含めて自分です。
そういったことを踏まえて、自分自身の性格の全体像を知ることが第一歩になります。
あなたが心に負担を感じず取り組めることや単純に好きなこと、はたまた苦手なこと、
大切にしたい価値観…など落ち着いてじっくり自分自身への理解を深めることから始めていきましょう。
Step2.あなたの強みは何だろう?
古くから、弱みを克服することが自分を高めるために大切とされますが、HSPの方にとっては、多くの労力と気力が必要な辛い作業になります。
弱みを克服するより、すでにもっている自分の強みを見つけ、それを活かしていくことを意識していきましょう。ネガティブに捉えられがちなHSPですが、仕事や生活に活かせる特性も多くあります。謙虚に考え過ぎて、気づいていない強みもあるかもしれません。落ち着いて探してみましょう。
Step3.過去の経験を振り返ろう
過去の経験を踏まえ仕事を選ぶことは大切です。
例えば、多くの人と関わる職種で苦労した経験があるなら、そういった場での仕事は選ばない。
逆に、丁寧にお客様と向き合える職場でやりがいを感じた経験があるなら、似ている職種を選ぶ。
このように、自分が仕事や生活を通して見つけてきた得意・不得意を振り返り、仕事選びの参考にしてみましょう。
Step4.HSP特有の気質を理解しよう
HSPには「DOES」と称される代表的な4つの気質があります。
>> 【徹底解説】HSPとは?特徴・診断方法・発達障害との違いなど【繊細なあなたへ】
気質を改めて理解することは、さまざまな刺激への対処の仕方や心地よく過ごすために見直すべきポイントを意識するキッカケとなります。
また、Step1の自分を理解することにも大いに役立ちます。
Step5.天職について考えてみよう
一般的にある天職のイメージといえば
「その人の才能が思いきり発揮されている」
「仕事を楽しんでいる」
という感じでしょうか。
自分がどうなっていきたいのか、どういった価値観・在り方を大事にしたいのか、1つずつじっくり考えていくことで見えてきた自分と天職のイメージと照らし合わせてみましょう。
HSPに向いてる仕事
HSPにとって自分を理解すること心地よく過ごせる職場環境を意識するということがいかに重要かをお伝えしてきました。
では、今までの内容を踏まえて、具体的にどういった仕事がHSPの方に向いているのか、見ていきましょう。
向いてる仕事 | 理由 |
カウンセラー・心理士 | 悩んでいる人の心の問題に取り組みサポートをする職業です。HSPの方は共感力に長け、人の心に寄り添うことができるので、相手に心を開いてもらえることも多いでしょう。 |
整体師・マッサージ師 | 敏感に小さな変化を捉えるHSPの特性を活かし感覚で患者さんの身体の痛みや異常に気付くことができます。 また、施術中は一人のお客さんに集中できるので人との関わり合いも比較的少なめです。 |
図書館司書 | 本の管理や貸出手続きなど仕事内容が分かりやすいものが多く、空間的にも落ち着いているため刺激も少なく働くことができます。一緒に働く人との相性が大事になってくるので職場選びは慎重に。 |
プログラマー・ITエンジニア | 常に新しいものが生まれるIT業界は学ぶことが多く、勉強熱心なHSPの特性を活かすことができます。また、職場環境にもよりますが、一人で集中して作業することが多く人と接することが少ない傾向にあります。 |
Webデザイナー | 感受性や芸術性といったHSPの高い感性を発揮できます。こだわりや創造力を大切にできるので充実感を味わえるでしょう。Webデザイナーも一人で集中しながらコツコツ進めていくことが多い分野です。 |
動画編集者 | 映像などの素材をつなぎ合わせたり音やテロップを加え適切な形に導く作業なので、細かく丁寧な作業を得意とするHSPに向いているといえます。動画編集も芸術性を求められる分野。 |
Webライター | 適切な言葉を用いて文章を組み立てていく作業は繊細な感性をもつHSPの得意分野と言えます。人の気持ちに寄り添う力があるので、ニーズに合わせた文章を作るなどに関しても力を発揮できるでしょう。 |
事務職 | データ作成・書類の管理など、丁寧・正確さを求められる作業や様々な人をサポートする業務は細やかな気配りに長けたHSPの方に向いています。また業務内容に大きな変化が起きる可能性が低く、比較的、刺激は少なめです。 |
看護師 | 思慮深く、人の心に寄り添うことができるHSPの特性を活かすことができます。患者をはじめ、周りのケアやサポートなど人の役に立つことに力を注ぐことができます。ただ、素質を活かせる職務内容ではありますが、環境についてはしっかり吟味し慎重に選ぶ必要があります。 |
保育士 | HSPの共感力は子どもに対しても発揮されます。表情や雰囲気で気持ちを察知してケアできたり子どもを大切に思う気持ちを伝えることができるでしょう。しかし、保育士も看護師同様、環境選びに吟味は必要です。 |
カメラマン | 芸術性や感受性を発揮できるクリエイティブな仕事です。豊かな五感・創造性を撮影に活かし、こだわりを追求することができるでしょう。 |
イラストレーター |
HSPの感性を活かせる仕事です。これだと決めたものに情熱的に取り組めるHSPの方はスキルを身につけていくことで、依頼者のニーズに配慮しながらも個性を活かした表現を追求していくことができるでしょう。また、フリーランスで活躍されている方も多いです。 |
HSPに向いていない仕事
HSPの方に向いている仕事をご覧いただきましたが、思いのほか多くの候補があり驚かれたのではないでしょうか?
では、逆にHSPの方にあまり向かない仕事をご紹介します。
向いていない仕事 | 理由 |
営業職(ノルマのある仕事) | 基本的に対面で自社の商品をアピールし契約に繋げる仕事です。人との接点が多いだけでなく、ノルマの存在によって目標達成への焦りや周囲の評価などプレッシャーが生まれます。スピードや気遣いも求められるので体力的にも精神的にも負担が大きく厳しいと言えるでしょう。 |
飲食業 | 基本的に人との関わりが主になり、特に都心や人の多いところではHSPの方にとって非常に強い刺激にあたる職業です。作業量も多く、ある程度のスピードも求められます。落ち着かない状況でのマルチタスクを強いられることでHSPの方は疲弊する場面が多くなります。 |
講師業 | こちらも子供や保護者など人との関わりが多く、周りの評価も大きく関わってくる職業です。生徒の成績アップや知識・パフォーマンスの向上が見られない場合、自責の念にかられてしまい、精神的に辛くなることも。 |
まとめ:HSPの特性を理解し、天職を見つけよう
今回はHSPの天職探し、働くうえで気をつけたいポイントをお伝えしていきました。本記事の内容をまとめると以下の通りです。
- HSPの天職探しはまず自分を知ることから
- 仕事内容はもちろん、周りの影響を受けやすいHSPには職場環境の良さも大切
- 職業内容を知り自分に合った仕事を探していこう
HSPの方は仕事に人間関係に…と本当に多くのことを考え抱えて、こんな気質でなければ…と思うことも多々あるかと思います。
ただ、HSPの気質は時に大きな強みになります。仕事選びは非常に根気のいる作業ですが、自分の“好き”や大切にしたい価値観を突き詰めていけばきっと自分にとっての天職が見つかるはずです。
様々な働き方が認められてきている今の世の中。
性格もHSPの気質も人によって様々です。焦らずじっくり自分に合った仕事を探していきましょう!
今回の記事で、そのお手伝いが少しでもできていれば幸いに思います。