HSPという言葉が少しずつ認知されるようになり、HSP特有の気質をわかりやすく「HSPあるある」として取り上げられる場面を見かけるようになりました。
- 他の人の感情に影響されやすい
- ちょっとしたことで落ち込み一人反省会…
- 刺激に過敏で生きづらさを感じている
- 大勢の人と接した次の日は一人の時間がほしくなる
今回は「生きづらいなぁ…」と感じているHSPの”あるある”についてご紹介すると共に、その対処法についてもお伝えします。
日常で困ったときなどにぜひ役立ててみてください!
HSPとは?病気ではなく気質
HSPとは、”Highly Sensitive Person(非常に神経の鋭い人)”の頭文字をとったものです。
今から20年以上前に、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士がHSPの特性を説明しました。
HSPは全人口の15%~20%、そのうち30%は外向的なHSPといわれています。
アーロン博士によると、外向的なHSPは大家族で育ったり、全寮制の学校で過ごした経験をもつケースが多いようです。
このタイプのHSPは大勢でいるときの方が落ち着くという特徴があります。
「HSP」といっても人によって特性が異なり、生まれ持った「気質」なので、病気ではありません。
>>【徹底解説】HSPとは?特徴・診断方法・発達障害との違いなど【繊細なあなたへ】
もしかしてHSP?HSP診断の方法は?
HSPは4つの特徴をもつといわれています。
"HSP主な4つの特徴「DOES」"
情報を深く受け止め、考えてから行動するので、他の人よりも小さな刺激にも敏感。
そのため疲れやすく、周囲の環境に振り回されやすいのです。
無意識にいろいろなことに気づき、敏感に反応して、疲れやすい・傷つきやすいという気質をもっています。
「自分がHSPかどうか分からない…」
「HSPの診断をしてみたい」
という方はこちらからHSP診断ができるのでチェックしてみてくださいね!
>>【5分でHSP診断】HSP気質か簡単セルフチェック!自分の繊細さがわかる
HSP(繊細さん)ならではの”あるある”
他の人の言動に人一倍敏感で繊細なHSP。
そんなHSPならではの「あるある」をさまざまなシーンごとにまとめてみました。
HSPあるある「人間関係」編
人間関係の悩みは誰しも少なからず抱えていると思いますが、HSPはその特徴から特に深く悩んでいる人が多いもの。
- 雑談が苦手
- 断るのが苦手
- 大人数が苦手
- 本音が言えない
- 相手の嘘が見抜ける
- 大丈夫なふりをしてしまう
- 八方美人になりがち・他人のこと放っておけない
- 人に言われた些細なひとことをずっと気にしてしまう
- 友達は好きだけど長い時間一緒にいると疲れてしまう
- 相手の仕草・目線・表情などで機嫌や気持ちの変化を察知してしまう
人に気を遣いすぎてしまって、自分の気持ちを置き去りにしてしまいがちなHSP。
その特性を理解した上で適切に対処することで、人づきあいも身構えることなく、苦手意識もなくなるでしょう。
HSPあるある「人間関係」対処法
- 一人の時間をもつ
- 他の人に上手に頼る
- 1つずつ問題に向きあう
- 頭の中のモヤモヤを紙に書き出す
- 苦手な人・苦手なこととは距離をおく
- 睡眠をしっかりとって心身共に休ませる
HSPは人と一緒にいる時間が長いと、刺激が多くて疲れやすくなります。
少しスケジュールが立て込んでいると感じたときは
一人でゆっくりする時間
を意識的につくるようにしましょう。
また、人に気を遣いすぎて頼ることが苦手なのがHSPさん。
「人に迷惑をかけてしまってはいけない…」と頑張りすぎてしまう一面も。
自分で抱え込み過ぎず、思い切って人に頼ってみると、思いのほか上手くいくことも多いもの。少しずつ、人に頼ること、助けを求めることも意識してみましょう。
無意識に他の人の影響を受けやすいので、苦手だと感じる人がいたら、その直感を信じて距離をおくことも大事です。
人に対して「苦手」と感じることに罪悪感を抱く人もいるかもしれませんが、その感情は誰もが普通にもっているもの。そのまま受け止めて大丈夫なのです。
HSPあるある「仕事」編
HSPの特性から、仕事での「あるある」は職場環境・人間関係が影響してきます。
- 頼まれると断れない
- 危険察知能力が高い
- 職場環境に左右される
- 電話対応が苦手
- 昼休みのオフィスが苦手
- 上司の機嫌がわかる
- 気遣いや感性に個性が出る
- 報告・連絡・相談が苦手
- ミスを引きずりやすい
- 同期や後輩と自分を比較してしまう
- 満員電車がつらく会社に行くまでに疲れている
HSPの人は、心身ともに他の人より疲れやすいので、HSPをデメリットに感じてしまうかもしれません。
しかし、仕事においてはメリットに働く面も多いのです。
「正確」
「気配り上手」
「アイディアが豊富」
「危機管理能力が高い」
など。
HSPの特性を活かした相性の良い仕事として次のような仕事が挙げられます。
- 正確性が求められる仕事
- 独創的なアイディアを求められる仕事
- コミュニケーションが少ない仕事
- 生き物(植物)に関わる仕事
- 人のことをケアする仕事
これらの仕事を自分のペースでできる環境であれば、長く仕事を続けることができるでしょう。
>> HSPに向いている仕事・向いていない仕事は?特徴や選び方を解説【適職探し】
HSPあるある「思考」編
HSPの4つの特徴からHSP特有の思考のクセがあります。
- 完璧主義で自責思考になりやすい
- 自己肯定感が低い
- 一人反省会祭り
- 考えすぎて疲れる
- 拡大解釈しやすい
- 空気を読んで深読みしすぎてしまう
- ゼロ100(白黒)思考
思考のクセは、HSP気質を理解することで対処できます。
「自分にはどんな特徴があるんだろう?」
「どんなときに生きづらいと感じているんだろう?」
一つずつ紐解いていくことで、不安要素が減っていきます。
HSPあるある「思考編」対処法
- 不快な刺激を避ける
- 気持ちをリセットする方法をもっておく
- 何もしない時間を意図的につくる
- 「これでいい」と今の自分を受け止める
- 人と一定の距離を置く
- 人を助けすぎない
HSPの人は、明るさ・匂い・音など物理的に苦手なものがあります。
不快感を感じるものは、なるべく回避できるような工夫をしましょう。
また、気持ちが乱れたときに自分なりに心をリセットする方法を、日頃からいくつか探しておきましょう。
「ストレッチする」
「外の景色を眺める」
「一人になれる場所に行く」
など。
他の人の感情の影響を受けやすいHSPさんは、人との距離感も大事です。
相手に踏み込みすぎるのも、踏み込まれるのも苦手です。
思いやりから困っている人を積極的に助けてしまいがちですが、自分の負担が増えて抱え込み過ぎてしまいかねません。
人を助ける場合には「どこまで手を貸すか」マイルールを決めておくことで、人に振り回されすぎて消耗するのを防ぐことができるでしょう。
HSPあるある「恋愛」編
人の感情に敏感なHSP。
恋愛では、相手のことを気遣うあまり、必要以上に傷ついたり疲れてしまい「自分は恋愛には向いていないな」と感じて悩むことがあるのではないでしょうか。
- 好きになると相手のことで頭がいっぱい
- 駆け引きが苦手
- 慎重になりすぎて相手との距離がなかなか縮まらない
- 相手に気を遣いすぎて疲れやすい
- 相手に尽くし過ぎる
- 好きな人に依存しすぎる
- 不安で深読みして誤解しがち
- 人をすぐすきになってしまう
- 好きな人に自分の意見が言えない
相手の気持ちがわかりすぎるので、先回りしたり深読みしすぎたりして疲弊してしまうことが多いのです。
また、ついつい尽くし過ぎてしまう傾向にあるのも特徴です。
HSPの恋愛が成就するためには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
HSPあるある「恋愛編」対処法
- ポジティブな気持ちの強い人を選ぶ
- 情緒の安定している人を選ぶ
- 見た目や性格ではなく一緒にいて心地よい相手を選ぶ
- 一定の距離感を保って付き合う
- 恋愛以外に集中できる趣味をもつ
- 疲れてしまうまえに自分の時間をつくる
- 尽くす恋愛はやめる
HSPの恋愛は、必要以上に考えすぎて心が疲れたり、気持ちを勝手に深読みして傷ついたり、こじれてしまうことが多いようです。
「少し疲れているな」と感じたら、休息が必要なことを相手に伝えて、
「しっかり休みをとる」
「自分の時間をつくる」
などを意識してみましょう。
HSPあるある「SNS」編
日常生活に欠かせなくなったSNS。
共通の趣味を持った仲間に出会えたり、新たな出会いがあったりと楽しい反面、ネガティブな発言が目に入ると、感受性豊かなHSPは、自分のことのように落ち込んでしまうことも少なくないはず。
- フォロー・フォロー解除など気にしすぎて病む
- コメント対応に悩む
- 他の人のキラキラ具合を見て落ち込む
- 親身になりすぎる
- 自分のことを言われていると思ってしまう
- 悪意あるコメントに反応してしまう
文字からも人のエネルギーを感じ取ってしまうのがHSP。
悪意のあるものや攻撃的・批判的な内容に心を痛めることも少なくありません。
また、SNS特有のフォロワー数の増減、コメントの有無についても、一喜一憂する場面が多いもの。
そんなHSPのあなたは、SNSを利用する一定のルールを設けることがおすすめです。
HSPあるある「SNS編」対処法
- ミュートやブロックを活用する
- 利用目的に合わせて使い分ける
- 利用する時間を決めて必要以上に見ない
ミュートやブロックに抵抗を感じるかもしれませんが、目にしない方がよい情報は思い切って遮断してしまうことも必要です。
自分の心を守ることを優先してSNSと付き合うことを意識しましょう。
利用時間を決めることも有効です。
24時間、いつでもさまざまな情報が流れ込んでくる状況は、感受性の豊かなHSPにはあまりよい状況とはいえません。
使用する目的を明確にして、決まった時間だけ使用したら、あとはSNSから離れる時間をもつようにしましょう。
HSPあるある「外食」編
実は、外食が苦手なHSPも少なくありません。
HSPは外食のどんなことで困っているのでしょうか?
- メニュー選びに時間がかかってしまう
- 間違ったメニューが運ばれてきても何も言えない
- 全部食べきれないと申し訳なく思う
- 店員さんの態度が気になってしまう
- 店員さんを呼ぶタイミングを逃してしまいがち
- 食器の「カチャカチャ音」が気になる
- ドリンクバーが列になっていると落ち着かない
自然と人に気を遣ってしまうHSPは、外食だと落ち着かない要素がたくさん。
店員さんのふとした表情や仕草が気になってしまったり、隣の人と席が近いと気配や会話が気になってしまって食事に集中できなかったりするのです。
HSPあるある「外食編」対処法
- なるべく端の席に座る
- お気に入りのお店を見つける
- イヤホンを活用する
仕切りのない空間だと落ち着かないのがHSP。
なるべく端の席や後ろや隣が壁の席を選ぶようにしましょう。
また、お気に入りのお店を見つけると、お店選びに苦労することもなくなり、何度も通ううちに安心感を得られます。
音が気になる人はイヤホンがおすすめ!
HSPあるある「学校」編
学校がつらいと感じるHSPの人は少なくありません。
なぜなら、学校にはたくさんの人がいて、いろんな「気持ち」が行き交う場。
敏感に人の気持ちを感じ取ってしまうHSPには、刺激が多すぎてとても疲れるのです。
- 先生への質問が苦手
- グループワークの時間、他のメンバーに気を遣って疲れる
- 授業中あてられて注目が集まる中で発表するのがつらい
- 学校での勉強は周囲が気になって集中できない
- 他の誰かが怒られていると自分が怒られているような気持ちになってつらい
学校がつらくなってしまって「行きくないな」と思うこともあるかもしれません。
そんな時は思い切って休んでしまうのもあり!
HSPあるある「学校編」対処法
- 心から信頼できる友達を見つける
- 自分の心が楽に感じることを優先する
- 熱中できることに取り組む
- スクールカウンセラーを利用する
- 学校をお休みしてみる
クラスメイトや先生の視線を気にしてしまいがちなHSPですが、無理にみんなに合わせる必要はありません。
休み時間の教室が苦手なら、保健室や落ち着く場所を探して、ゆっくり過ごしてもいいのです。
一人でもいいから、心から信頼できるお友達ができると安心感を得られて、学校も楽しく感じられます。今の自分をそのまま受け入れてくれるお友達を探してみましょう。
どうしてもつらいときは、我慢せずに「学校を休む」という選択をしてもいいのです。
「勉強が遅れてしまう」と、心配かもしれませんが、今はYouTubeやアプリ、オンライン講義など、さまざまな方法で学ぶことができます。
HSPあるあるへの対策とは?
今回は、HSPの「あるある」についてご紹介してきましたが
「自分に当てはまるなぁ」
「うんうん、あるある!」
というものはあったでしょうか?
他にも
- 大きい音・騒音が苦手
- まぶしい光が苦手
- お腹がすくと集中できない
- ロングスリーパー
など、ここではご紹介しきれないものがたくさんあります。
これらの「HSPあるある」への対策は、まずは自分の気質をしっかり理解すること。
自分がどんな時に辛いと感じたり、気分が悪くなったり、落ち込んでしまったり、体調がすぐれなくなってしまうのか。
その要因が分かれば、適切な対策を立てて、ラクに過ごせるようになります。
ここでは、主な対処法を3つご紹介します。
①自分のストレスになるものを把握しておく
HSPについて正しく理解しておかないと
「自分の頑張りが足りない」
「心が弱すぎるだけだ」
と必要以上に自分を責めてしまいがちに。
まずは「繊細な気質」についての理解を深め、
自分にとってストレスになるものが何であるか
を把握しておくことが大事です。
その上で、自分の気持ちが穏やかになれる”リスト”を作っておくのもオススメですよ!
>>【厳選14冊】HSPに悩む人におすすめしたい本!HSPとの向き合い方が分かる本を紹介
②環境を変える
自分の意思ではどうしようもない要因が絡んでいるのがHSP気質。
持って生まれたものなので、無理やり変えようと思ってもなかなか変わるものではありません。
無理に自分を変えようとするのではなく、環境を変えることが解決につながることも。
職場がどうしても合わないと感じたら、
- 転職を視野に入れる
- 不快な場所・苦手な相手との関係性を断ち切る
など変えられる外部環境に焦点を当ててみるなど検討してみましょう。
③自分を大切にする
完璧主義で必要以上に頑張ってしまいがちなHSP。
失敗した場合はもちろんのこと、自分の失敗ではない場合にも
「自分のせいではないだろうか」
と、自分を責めてしまいがち。
「よく頑張っている」
「今のままの私でいいんだ」
まずは、そのままの自分を受け止め、自分を労わり大切にしましょう。
自分を労わる言葉を、手帳などいつも目にするところに記しておくのも効果的ですよ!
まとめ:自分だけじゃない!HSPあるあるを理解して自分の取扱い方を知ろう!
この記事では、さまざまな場面における「HSPあるある」についてご紹介しました。
繊細さんと呼ばれるHSPは、ストレスや生きづらさを感じやすく、うまく対処できずに悩んでしまうことも少なくありません。
しかし、HSPの気質を理解し、長所を生かす方法を知り、自分に合った環境で過ごすことができれば、自分らしく生き生きと過ごすことができるのです。
いいところもたくさん持ち合わせている私たちHSP。
この記事でHSPの特徴をしっかり理解し、自分の取扱い方がわかることで、あなたの暮らしが少しでもラクになるお手伝いができましたら幸いです。