「HSPという言葉を知って、すごく気持ちがラクになった。だけど、HSPの特性と少しだけ違う部分があるような気がして…」
あなたはこんな風に感じることはないでしょうか。
アメリカのアーロン博士が提唱したHSP(Highly Sensitive Person)は、一般の人よりも感受性が高く、外部からの刺激に敏感な人々のことを指します。
HSPはその気質から「内向型」だと思われがちです。
しかし、HSPの中でも「外向型」や「刺激を求めずにはいられない」というタイプがあるのはご存じでしょうか。
今回は、HSPの中でも「刺激追求型」と呼ばれる「HSS型HSP」の特徴についてご紹介します。
HSPの4分類のうちのひとつ、HSS型HSPとは?
HSP(Highly Sensitive Person)について、アーロン博士は以下4つの特徴をもつ人をHSPと定義しました。
"HSP主な4つの特徴「DOES」"
これらの頭文字をとって「DOES」と呼ばれています。
HSPは生まれつき感受性が強く、敏感な気質をもっています。
そのため疲れやすく、周囲の環境に振り回されやすいのです。
最近では「繊細さん」という表現で、多くの人に認知されるようになりました。
全人口の5人に1人はHSPだといわれていますが、HSPのうち約30%、
全人口の約6%が「HSS型HSP(刺激追求型HSP)」
に該当するといわれています。
HSPについては、以下の記事に詳しくまとめています。
>>【徹底解説】HSPとは?特徴・診断方法・発達障害との違いなど【繊細なあなたへ】
HSPは病気なの?
「HSPは病気なんだろうか?」と気になる人もいますよね。
前述の通り、HSPは統計的には全人口の5人に1人、15~20%がHSPの気質をもっているといわれ、生まれ育った環境や性格によるものではないことがわかっています。
「5人に1人が該当する」と聞くと意外と多いと感じるのではないでしょうか。
しかし「本人が自覚していない」あるいは「自覚しているが周囲に公表していない」など、それほど多くの割合でHSPが存在していることを実感していないのが実情です。
HSSとHSPに関する分類
HSS型HSPの「HSS」とは「High Sensation Seeking」の頭文字をとった略称で、「刺激探求型」とされています。
新しいお店ができるとすぐに出かけてみたり、計画も立てずにフラッと旅にでたりと、
好奇心旺盛で行動力のあるタイプです。
HSPの中でもHSS型、そして外向型のHSEは、次のように分類されます。
HSS型HSPなのかな?!チェックしてみよう!
実は「診断」という言葉が当てはまるのは、病気や疾病に対してのみ。
HSPは「気質」なので個人の特徴・個性のひとつです。
自分がHSPなのか、HSPの中でもどのタイプなのかをチェックするツールがあるので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
>>【5分でHSP診断】HSP気質か簡単セルフチェック!自分の繊細さがわかる
HSS型HSPの特徴とは?生きづらさを感じるのはなぜ?
これまでご紹介してきたように、HSPは生まれながらに繊細かつ敏感で、人が気づかないことにも無意識のうちに反応し、多くのことを感じ取っています。
ささいな刺激に影響を受けやすく、気持ちが不安定になったり、疲れやすくストレスを感じやすいのはそのためです。
一方「HSS」の特徴は、前述したように、好奇心旺盛で刺激を欲するという衝動性特性を持ち合わせています。
HSS型HSPは、相反する特性「静」と「動」が共存している複雑な状況を抱えているのです。
「アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいる状態」
と表現されることもあるように、人一倍消耗が激しく、矛盾を抱えて過ごしています。
そのため、生きづらさを感じてしまう人も少なくありません。
HSS型HSPの主な特徴
HSS型HSPは具体的にどのような特徴をもっているのでしょうか。
以下に例を挙げてみます。
- 流行に敏感で新しいものにすぐに飛びつくが、飽きてしまう
- 外に出かけるのはスキだが、人混みや騒音などで疲れてしまい、早く帰りたくなる
- 周りからは明るく社交的で元気な人だと思われているが、実はそうではない
- 初対面の人も打ち解けられるが、徐々に距離を置きたくなる
- びっくりするような大胆な行動をとるかと思えば、小さなミスを気にしてくよくよする
HSS型HSPは、周りからはとても社交的で頼りになる存在に思われています。
しかし、実際は周りのイメージとは違い、帰宅すればぐったりと疲れて動けなくなったりして、外部のイメージとの矛盾に悩んでいるのです。
HSS型HSPは、置かれた環境に適応しようと、自分にとって安心して過ごせる環境でないのに無理をして頑張った結果、上記のような特徴が現れるのではないかとも言われています。
自分の「二面性」に罪悪感をもつことも
HSPは「繊細さん」と表現されるのに対し、HSS型HSPは相反する特性をもつことから「かくれ繊細さん」と呼ばれることも。
「かくれ繊細さん」は、新たな出来事や情報を常に求めています。
知りたい欲求が強いので、情報を収集するために検索したり、調べたり、積極的に人と関わったりするのです。
しかし、そこで起こる出来事に傷ついたり、刺激に圧倒されたりして自分の中で対処しきれなくなったり。
傷ついてはいるものの、コミュニケーションスキルがあるので、人の目があるところで傷ついた姿を見せることはなく、難なく乗り切れたように見せる術も持ち合わせています。
しかし、この外面と内面がかけ離れた状態に「罪悪感」を抱いてしまうことも。
二面性を持った自分、ありのままでいられない自分に対して自己否定をしたり不安を感じたりするのです。
HSS型HSPの悩み
- やる気のあるときとないときの差が激しい
- 人付き合いが好きだけど疲れてしまう
- 自己否定しすぎて嫌になる
- 行動したいのに勇気がでない
- いつも緊張していて気持ちが休まらない
- 人の意見に流されやすい
- 気持ちの切り替えがむずかしい
人とコミュニケーションをとることは嫌いではないのですが、自然と相手に気を使ってしまうHSP気質が影響して、自分でも気づかないうちに疲れてしまうことが多いのです。
また、一人になったときに
「あの言い方はよくなかったかも」
「このときこうしておけばよかったのかも」
と一人反省会をすることもしばしば。
「自分はダメな人間だ…」と自己嫌悪に陥ることも多々あります。
「HSP」と「HSS型HSP」の違い
HSS型HSPも内向型なので、基本的な気質はHSPと同じです。
大きな違いは2つ。
1つは、好奇心旺盛で常に新しい情報を求めているというもの。
多くの情報を得て、結論を知りたがります。焦りやすく落ち着きがない印象を与えることもあるでしょう。
もう1つは、自分がどう見られるかを気にすることです。
見た目や話し方、立ち居振る舞いなど、人からの印象を左右するものに強い関心を払う傾向があります。
バランス感覚や芸術的なセンスが生れながらに備わっているHSPの特性と相まって、より見映えにこだわる傾向があります。
HSS型HSPに向いている仕事・働き方とは?
HSS型HSPの悩みの一つは「仕事が続かない」ということ。
好奇心旺盛な気質ゆえに、興味のあることが次々変わるので、仕事もある程度できるようになると、新たなことにチャレンジしたくなるのです。
「1つのことが長く続かない…」
とネガティブに捉えてしまいがちですが、裏を返せば
「果敢に挑戦できる」
ということ。
HSS型HSPの特性を活かし、
「刺激が強すぎず弱くもない」
「一人の時間が作れる仕事」
を探すのがポイントです。
そんなHSS型HSPが既存の働き方に縛られず、自分らしい働き方ができる方法を3つご紹介します。
①起業する・個人事業主になる
HSS型HSPはかなりのマイペース。
好奇心を強く感じる時と疲れたり緊張したりでゆっくりなペースになることがあります。
「常に同じペース」という働き方は負担になる場合があるので、個人事業主として自分のペースで働ける働き方がオススメです。
「周りに合わせなくては」というプレッシャーから解放され、誰かに指示されるのではなく、自分で創意工夫していけるので飽きることもなく、HSS型HSPにはとても向いてます。
②パラレルワーク
HSS型HSPの特徴に「飽きやすさ」があります。
変化を追い求めるので、複数の環境や複数の条件の下で働く「パラレルワーク」という働き方もおすすめです。
常に新しいものを追い求め、開拓心を満たせる仕事と、集中して没頭できる仕事を同時進行するなど、自分のそのときのモードに合わせてやりやすい方法で仕事をすると、メリハリがでて飽きにくいでしょう。
また、複数の収入源をもつことで経済面のリスクもカバーできます。
「1つのところにずっと勤めなければならない」という考えにこだわる必要はないでしょう。
③コンサルタント業
情報を集めたり分析したりする作業が向いているHSS型HSP。
集めた情報や分析結果から仮説をたてて検証する作業は、HSS型HSPの好奇心を満たします。
若いうちは目標を持って企業などに所属して経験値を積み、いずれは
「独立してのびのび仕事をする」
という働き方を視野にいれてもいいのではないでしょうか。
HSPに向いている仕事については、以下の記事に詳しくまとめています。
>>HSPに向いている仕事・向いていない仕事は?特徴や選び方を解説【適職探し】
HSS型HSPがラクに生きるための3つのポイント
どうしたらもっとラクに過ごせるのかな?
HSS型HSPの気質を理解した上で、どうしたらラクに過ごせるようになるのか、ラクに生きるためのポイントを3つご紹介します。
①自分の気持ちと向きあう
HSS型HSPは、空気を読んで自分の気持ちを無意識に抑えこんでいることも。
自分が感じていること、何を考えているのか理解するために、自分の思っていること・考えていることを紙に全て書き出してみましょう。
実は脳の容量は限られています。好奇心いっぱいで常に頭の中が稼働しているHSS型HSPは、脳の容量がパンパンになっている状態。
紙に書き出すことで頭の中から一旦出し、脳がクリアになります。また、文字にして可視化することで、客観的に自分の気持ちを整理できます。
全て書き出したら、自分の気持ちを否定することなく、ネガティブな気持ちも含めて、まずは認めてあげましょう。
人よりも敏感な自分が「頑張りすぎているから苦しいのだ」と理解し、そのままの自分を受け止めることで気持ちがラクになります。
②失敗の傾向をまとめる
刺激に対して抑えきれない衝動がある自分のことを、まずは認めてあげましょう。
その衝動性から、好奇心の赴くままに飛び込んで失敗したこともあったのでは。
これまで失敗してきたことを紙に書き出して、どんなことに失敗してきたのか、傾向と対策を立てるのです。その上で、マイルールを作り、失敗を回避するようにしましょう。
「やらないことリスト」を作成して、見えるところに貼っておき、常に意識するのもおすすめです。
失敗する傾向にどんな環境が影響していたのかを考えることも一つの方法です。
環境の影響を受けやすいHSPですが、好奇心が勝り、自分に合わない環境に飛び込んで失敗していることも少なくありません。
自分がこれまで経験してきた中で、どんな環境であれば居心地がよいと感じていたのか、自分の力を発揮できていたのかについても、冷静に分析してみるとよいでしょう。
③ホッとできる時間を作る
好奇心に突き動かされ、息つぎなしで行動しがちなHSS型HSP。
全力で走ったかと思えば、急に電池切れになり全く動けなくなることも。
やる気のある日とない日の差が激しいと悩んでいる人は、自分の最低限のラインを設け、「これがクリアできればOK」
と自分を肯定できる基準を設けてみましょう。
また、一人で静かに過ごす時間が必要なことを自覚して、自分の時間を定期的にもつことも大事です。
もし、出かけるのであれば人や騒音・雑音の少ない自然の中で、ゆっくり過ごせる環境がおすすめです。
>> もこもこインスタ
まとめ
今回は、人口の約6%といわれているHSS型HSPについてご紹介しました。
まだまだ知られていないことも多いHSP気質。中でも少数派のHSS型HSPは、その矛盾する特性から共感を得られず、生きづらいと感じている人も少なくありません。
まずは、自分の気質についてしっかり理解すること。
その上で、近しい人に理解してもらうだけでも、自分の気持ちに蓋をすることがなくなり、生きやすくなるかもしれません。
今回の記事を参考にして、自分の特性と向きあいながら、自由にあなたらしく生きる方法を見つけてみましょう。