「HSPはなぜ生きづらいと感じるのか」
「生きづらさを感じる原因は何なのか」
「どうすれば生きづらさから解放されるのか」
こんな風に、HSPで生きづらさを抱えながら過ごしている方も多いかもしれません。
今回の記事では、HSPで生きづらさを抱えている方に向けて以下をご紹介します。
- HSPの気質の理解
- 生きづらさの原因
- 生きづらさへの対処法
この記事を読むことでHSPの生きづらさを解消するきっかけになれば嬉しいです。
▼動画でも解説していますので、記事を読むのが苦手な人は、ぜひ見てみてくださいね!
【生きづらさの原因と改善】HSPがしてはいけないこと!
HSPが生きづらさを感じる理由とは?
「生きづらい」と感じるHSPの人が多いのはなぜでしょうか。その理由は、HSPの持っている特徴的な4つの性質が影響しています。
HSPの特徴的な4つの性質「DOES」
HSPとは「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略称。敏感で繊細な気質は病気ではなく、生まれ持った気質で約5人に1人が当てはまるといわれています。
HSPを提唱したアメリカの心理学者アーロン氏によると、以下の4つの特徴があります。
- 情報を深く考えて処理する(Depth of processing)
- 過剰に刺激を受けやすい(Overstimulated)
- 感情の反応が全体的に強く、共感力が特に高い(Emotionally reactiv and Empathy)
- わずかな刺激にも気づく(Sensitivity to Subtleties)
これらの頭文字をまとめて「DOES(ダズ)」と呼ばれています。
このように、HSPには特徴的な気質があります。HSPを理解して生きづらさを解消するためにはこれらの気質の理解が大切です。
>>【徹底解説】HSPとは?特徴・診断方法・発達障害との違いなど【繊細なあなたへ】
HSP診断もできるので、こちらも参考にしてみてください!
>>【5分でHSP診断】HSP気質か簡単セルフチェック!自分の繊細さがわかる
HSPが「生きづらい」と感じる理由はこの気質が大きく関係しているのです。
HSPの生きづらさの理由「感受性と敏感さ」
HSPの方の生きづらさの理由は”感受性と敏感さ”です。
先ほど紹介したようにHSPには「わずかな刺激にも気づく」「過剰に刺激を受けやすい」など感受性が高く、よく気づくという過敏性があります。
例えば、周囲の様子を伺い過ぎて気が付くと疲れてしまっている、自宅に戻るとなぜか自分の行動を振り返り1人反省会が始まる……などすでに起きてしまったことや周りのことを過剰に気にしてしまう傾向にあります。
このように、過敏性があることで人よりも疲れやすく生きづらくなってしまうのです。
HSPが生きづらさを感じる社会構造
HSPが生きづらいと感じる理由には、社会構造も関係しています。
HSPは少数派
実は、HSP気質を持つ人は日本人の全人口15%〜20%の少数派といわれています。
HSP同士でも外見から判断は難しく「この悩みは自分だけなのでは...」と周囲に理解してもらうことも難しい環境です。
次第に自分だけがおかしいのでは?と孤独と不安を感じ、より一層生きづらさを感じてしまうこともあるでしょう。
例えば、共感力が強いため、無意識のうちに周囲の感情を取り込んでしまうことがあります。喜び、悲しみ、怒りなどに引っ張られると自身の気持ちにも波ができてしまいます。
このように、周囲に理解者が少ないことも生きづらさの原因につながっているかもしれません。
正解を求めすぎる社会
学校教育からの答え合わせ、正解を求める思考が生きづらさの原因になっているのではないでしょうか。
答えがあり、答え合わせの時間があり、あたかも人生の全てに正しい正解があると誤解したままになってませんか。
例えば「自分は間違っているのでは?」という不安から「自分で考えるより先に他者の意見ばかり求めてしまう」「自分の意見は変だと思われてしまうのでは」など、同じ思考が正解だとされる中で少数派であるHSPは生きづらさを感じてしまいます。
HSPの生きづらさを解消する7つの対処法
生きづらさを抱えやすいHSPですが、生きづらさを解消するためのさまざまな対処法もあります。
ここでは取り組みやすい7つの対処法をお伝えします。
①HSPである自分への理解を深める
HSPである自分をしっかりと知り「繊細な気質」を自覚することが大切です。
どんな気質で、どんな感じ方や考え方をする傾向にあるのかを知るだけでもHSPの素敵な特徴を活かすことにつながります。
また、自分がどんな刺激に対して敏感なのかを把握し、対処法を考えることでより生きやすい環境をつくりだせるのです。
例えば、人と会うことは楽しいけれどなぜか疲れてしまう...という場合には、1人の空間をつくってあげるなど、自分をリセットすることも大切です。
HSPだからこそ相手に寄り添い過ぎてしまい、気が付けば疲れてしまっているのかもしれません。
自分の心の声に耳を傾け、繊細であることを自覚したうえで、自分だけのリラックス空間をつくり出せるとよいでしょう。
②環境を変えてみる
敏感であるHSPの特性から、刺激の少ない環境に身を置くことも大切です。
外から入ってくる刺激をなるべく減らすためにも、リラックス時には五感への刺激を極力遮断してみましょう。
例えば、目を閉じるだけでなくイヤホンや耳栓をして音の遮断を同時に行うことや、スマートフォン・パソコン等電子機器の電源を切りストレスにつながるものを遮断するなども効果的です。
頭で考え続けてしまうと疲れてしまうので、思い切ってボ~っとしてみるのも効果的なリラックス方法です。
また、職場や友人関係でも苦手だなと思うことがあれば無理に継続する必要もありません。良くも悪くも相手に共感しすぎてしまうため、自分の心地良い空間をつくっていくことも時には必要です。
③周りの人の理解やサポートを得る
HSPという特性を周囲の人に伝え、頼ることも大切です。
「どうせ分かってくれない...」と諦めるのではなく、自分を理解してくれる人や一緒にいて居心地の良い人など、少しでも素直になれる相手を探すことでもっと生きやすい環境をつくることにもつながります。
必要があれば医療機関へ行き、不安を打ち明けられる環境を確保することも良いかもしれません。
「理解者がいる」ただそれだけで、生きづらさが軽減され、より自分らしさを手に入れることにもつながるでしょう。
例えば、SNSなどを通じて同じ気質の方とコミュニケーションをとったり、関連したイベントに参加してみたりなど良いきっかけになると思います。
無理に理解を求める必要はありませんが、理解やサポートがあるとより生きやすい環境をつくれるのではないでしょうか。
④「できたこと」にフォーカスする
できないことではなく、できたことをしっかり褒めてあげることも大切です。
繊細すぎるがゆえに、できていないこと、失敗したことなどダメな部分に目を向けがちです。まずは、どんなに小さいことでも昨日よりできたこと、できるようになったことなどを振り返り褒めてみましょう。
例えば、料理が苦手でいつも失敗してしまう場合、昨日に比べるとまだ食べられる味になったな、形は丸に近づいているな、など褒めポイントを必ず見つけてあげましょう。
「できた」と認識するだけでモチベーションにもつながります。
最初から完璧な人はどこにもいません。自分のペースで自分を褒めてあげると、気が付けば料理本を出版できる程の腕前になっているかもしれません。
できたことに目を向けるだけで、過去に同じようなことで悩んでいる方の役に立つことにもつながるかもしれません。
⑤過去の捉え直し(リフレーミング)
何でも敏感に受け取ってしまうHSPは、過去の失敗をもう一度捉え直すことも効果的です。
これを「リフレーミング」といいます。
リフレーミングには「置かれている状況を捉え直すこと」と「悩み・性格などの内面の感じ方を捉え直す方法」があります。
過去を振り返ると、一見その出来事のせいで自信をなくしてしまったと思うようなことも、あなた自身が自分を守るための大切な行動だったケースもあります。
例えば、苦手な作業があると「自分にはできない」と最初から諦めていることがあります。
ですが見方を変えると「新たなことへ挑戦できるチャンス」あり「素晴らしい経験につながる可能性」があるのです。
このように、よくないこと、自分には無理だと決めつけマイナスに思っていたことも、捉え方を変えるだけで素敵な経験に変えることができるのです。
⑥「苦手な刺激」から自分を守る
共感力の高いHSPにとって、他の人と親密な関係になりすぎると怖いと感じることもあります。
「怖い」と感じると、自然に苦手意識が生まれ、コミュニケーションが負担に感じる原因にもなります。
そこで、自分がどんな刺激を苦手とするのかを分かってあげ、守ってあげることも大切です。
例えば、相手の意見に同調しすぎて気が付くと疲れてしまうときは、自分の気持ちはどう思っているかと客観的に自分を見てあげるとその人の怒り、悲しみなど感情に巻き込まれることは少くなるかもしれません。
相手のことを思いやること、共感できることはとても素敵ですが、苦手な刺激と認識する前に自分を守ってあげる対策を考えておくと良いでしょう。
⑦「今の自分・気質」を受け入れる
HSPは、自己肯定感や自己重要感が他の人に比べると低くなってしまう傾向があります。
- 自己肯定感:「自分の良いところも悪いところも含めて、ありのままの自分を肯定する感覚」
- 自己重要感:「自分は重要な存在である・自分は価値のある存在であるという感覚」
どちらも、自分の幸福感や人間関係に大きな影響を与えます。
この自己肯定感や自己重要感が低いのは、もともと持って生まれた敏感さ、傷つきやすさ、疲れやすさが影響しているともいわれています。
例えば、ミスをしてしまった際、原因よりも注意を受けたことに焦点をあて何度もその光景が頭から離れないということはないでしょうか。
そんなときは、自分を否定するのではなく「大丈夫だよ、こんなときもあるよ!」と自分自身に声をかけてあげましょう。
敏感な性質だからこそ、自分の心の声を聞いてあげることも実は得意なのかもしれません。
自分の特性を自分自身が受け入れてあげることが大切です。
まとめ:HSPの気質を味方につけて生きやすい暮らしへ!
日本の全人口15%〜20%の少数派といわれているHSP。
敏感であり、感受性が強いことから周囲の刺激を受けやすい性質を持っています。「生きづらい」と感じるのはこの性質が大きく影響しているでしょう。
また、少数派であるがゆえに、自身の状況を周囲に理解をしてもらえない...と感じている方が多いのではないでしょうか。
環境を変えたり、過去を捉え直すリフレーミングを行なったりと「生きづらさ」を解消する方法はさまざまですが、まずはHSPという生まれ持った素敵な性質を受け入れ、どんなことが苦手な刺激になるのか知っておくことが大切です。
苦手な刺激を知ると、そこに対する免疫もついてくるので、生きづらいと感じていた世界も自然と新しい形の世界に見えてくるのではないでしょうか。