「聞こえてきた悪口が自分に向けられているのでは……」
「第三者への悪口がすべて自分のことのように感じる」
「自分が悪口を言ったわけではないのに罪悪感を覚える」
これらはHSPの方が感じやすい悩みです。過去に苦しんだ経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、HSPで生きづらさを抱えている方に向けて以下をご紹介します。
- HSPが愚痴を聞くのが嫌いな理由
- HSPが悪口を苦手とする理由
- 繊細な心を守る方法
悪口に振り回されない心づくりのヒントになれば幸いです。
HSPが人の悪口や愚痴を聞くのが苦手な理由
HSPは人よりも共感力や感受性を持っています。魅力的な長所ですが、反対に悪口や愚痴に苦しむ原因でもあります。
①自分が責められている気がする
HSPの想像力や共感力は無意識に発揮されます。そのため、話している相手が発した第三者に対する悪口でも、気づかないうちに自分が言われたかのようなダメージを受けたり、悪意を自分に向けられたように感じ取りやすいです。
たとえば職場で同僚が愚痴を話しているときに「自分のことではないか」と不安になったり、イライラしている人を見て「何かしてしまったかな」と心配になったりするのです。
このように、想像力や共感力の高さから心をすり減らしてしまい、家に帰って落ち着いたころには傷ついてクタクタになってしまいます。
②場の空気を感じ取って気持ちが重たくなる
HSPの強い感受性は他人の表情や聞こえてくる声のトーンから、なんとなくその場の空気を察知します。
少し会話をしただけでも「今日はイライラしているのかな」と感じ取ったり、場の空気が悪いことにいち早く気づけたりするのです。
悪口や愚痴が蔓延してギスギスした空間では気持ちが重たくなるだけに留まらず、周囲に気をつかって疲れきってしまいます。
③愚痴に共感してしまい自分が体験したかのような気持ちになる
共感力が強いと他人の感情に影響されて心が乱れやすくなります。人の愚痴に共感しすぎて、自分と他人の境界が曖昧になるのです。
誰かの愚痴を聞いたあと、相手の感情に引きずられてどっと疲れてしまった経験はありませんか?
つまり、HSPは相手のつらい感情をあたかも自分が体験したかのように一緒に味わってしまうのです。
④自分も陰で悪口を言われているのかも…と不安になる
HSPの想像力は非常に豊かですが、ネガティブな想像を繰り広げるのも得意です。
話し相手の発した第三者の悪口を聞いているうちに「この人は陰で自分の悪口も言っているのでは……」なんて考えが浮かび、起こってもいないことを先読みして自身の不安をどんどんあおってしまいます。
HSPが「悪口が苦手」と感じる理由│HSPの4つの特徴
HSPを提唱したアメリカの心理学者アーロン氏によると、HSPには以下の4つの特徴があります。
- D:思慮深い、深く考えてから行動する(Depth of processing)
- O:刺激に敏感で疲れやすい(Overstimulated)
- E:人の気持ちに振り回されやすく共感力が高い(Emotionally reactiv and Empathy)
- S:鋭い感覚をもち些細なことにも気づく(Sensitivity to Subtleties)
それぞれの頭文字をとって「DOES」と呼ばれています。HSPを正しく理解する上で、しっかり押さえておきたいポイントです。
周りの空気や起こる出来事を人一倍取り込み、深く考えてしまう気質なのが、よく分かりますね。
HSPが悪口を苦手とする要因には、この4つの特徴が関係しているといえるでしょう。
>>【徹底解説】HSPとは?特徴・診断方法・発達障害との違いなど【繊細なあなたへ】
そもそも自分はHSPなのかわからない、知りたいという方は、簡単にセルフチェックできるツールがあるので、こちらでチェックしてみてください!
>>【5分でHSP診断】HSP気質か簡単セルフチェック!自分の繊細さがわかる
HSPの繊細で傷つきやすい心を守る方法5選
ここまで、HSPは“繊細で敏感な気質”から、悪口に関わると疲れてしまうことを説明しました。そんな繊細な心をどう守っていくのか、その方法をご紹介します。
①相手と適度な距離をとる
HSPは人間関係での疲れをとても感じやすいです。
他人の言動に心がザワついたり不快感を覚えた場合は、一旦、その場を離れましょう。その場から去ることができなくても後ずさりをしたり、身を引き、相手から少しでも離れることが大事です。
特に悪口が蔓延した空間であれば、会話の内容に否定や同調をせず、物理的に離れると心へのダメージが少なく済みます。
②無神経なひとことから心を守る術を身に付ける
無神経な言葉を向けられたときは、言い返したり反発したい気持ちをグッと堪え“その言葉を受けて現れた自分の感覚だけ”を相手に伝えてみましょう。
たとえば、以下のように伝えてみてください。
このように、そのとき自分に現れた感覚に応じて適宜、当てはめましょう。自身に起こった感覚をただ伝えるだけで大丈夫です。
HSPは神経が高ぶると大きな焦りや動揺が生まれます。そのため、感覚だけをとりあえず伝えて、一旦、落ち着いて冷静に自分の状態を把握しましょう。
③リフレーミングをする
“リフレーミング”とは物事をさまざまな角度から捉えて考えを見直して前向きにつなげる思考法です。不安で仕方がないときや自己否定に走ってしまうときなどに役立ちます。簡単に言うと、ネガティブからポジティブを探す感覚です。
具体的には以下のような言い換えを練習するのがオススメです。
- 自信がない → これから、成長していける
- 大人しい → 協調性を持っている
- 変わり者 → 自分の個性を大切にしている
リフレーミングは事実をねじ曲げて楽観視するためのものではなく、事実を認めたうえで良い方向を見出し進んでいく心づくりです。自分の気持ちと向き合うのに、とても有効です。
④一人で落ち着ける場所・時間でリセットする
HSPは人と関わったり外の世界へ触れたりする際に、とても多くの刺激を取り込み、無意識のうちにストレスや疲労を溜めてしまいます。疲れてヘトヘトにならないよう、こまめにリフレッシュするのが非常に大切です。
環境にもよりますが、日常的に少しでも一人で落ち着ける場所と時間を見つけましょう。
⑤気になることは思い切って聞いてみる
少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、悪口や噂話をされている予感がしたら、その場で相手に思い切って声をかけてみるのも一つの手です。
HSPの豊かな想像力はネガティブなイメージにもつながりやすく、実際に悪口を言われたわけではないのに、自分の想像だけで事実だと思い込んでしまうことがあります。そのため、相手に思い切って話しかける行為は、自分の憶測で完結させず事実確認をしてモヤモヤを解消できる方法です。
勇気を持ってあいさつをしてみたり、そばに寄ってこっそり耳を立ててみたり……。確認してみると、案外、自分にはまったく関係のない話題かもしれません。
まとめ:新しい自分になるために勇気を出して1歩踏み出そう!
HSPの想像力や感受性・共感性の高さは長所です。しかし、そんな豊かな感性から自分を客観的に見つめがちで周囲が驚くほど謙虚だったりします。
良い面も努力が必要な面も両方持ち合わせているのが人間です。
ゆっくりで構いません。自分のココロやHSPの気質と正しく向き合い、不安を解消してあげましょう。自分を少しでも認められた頃には、きっと悪口やイヤな空間からは遠ざかっています。
この記事が、あなたの“自分らしく生きるための一歩”への一助となれば嬉しく思います。