突然ですが、みなさんはたくさん寝てしまったり、もしくは、途中で起きてしまうことはないですか?
音が気になって眠れなくて耳栓を使っても、逆に耳栓が気になって眠れなかったり、アイマスクを使ってしっかり目を休めようとしても、アイマスクの存在が気になってなかなか眠れなかったり…。
香りに癒されようと思ってアロマを使っても、いつもと違う香りで寝付けなかったり…。
睡眠は生きていく上で大事な要素ですが、HSP気質をもった人はなかなか寝付けない、あるいは寝すぎてしうなど、睡眠の悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では睡眠に悩んでいるHSPの方に向けて以下のことを解説します。
- HSPの気質の理解
- HSPに睡眠が必要な理由
- 良質な睡眠がもたらす効果
- 良質な睡眠をとる方法
この記事を読めば、HSPと睡眠の関係やすっきり眠れる方法が分かります。
HSPによく寝る人が多い理由
HSPによく寝る人が多い理由は、無意識に日々の疲れが溜まってるから。
仕事や職場の人間関係など、不機嫌な人やさまざまな人の影響を受けて、自分も疲れてしまい、いろいろな場所のにおいや音に無意識に刺激を受けて疲れてしまったり…。
自然と周りに気を遣い、気づかないうちにたくさんの刺激に疲れ果ててしまうことが原因です。テレビやSNSなど情報にあふれた社会だから、視覚からの情報に疲れるのも不思議なことではありません。
その疲れを回復するために、HSPはたくさんの睡眠を必要とする人が多いのです。HSPによく寝る人(ロングスリーパー)が多い理由の一つだと考えられます。
また、その繊細な気質から他人に自分のことを相談するのも苦手。疲れやストレスを発散できず、自分の中で溜め込んでしまいがちです。
このような特徴から、HSPは慢性的に疲れた状態が続き、睡眠を多くとることで心身の安定を図ろうとしているのです。
よく寝るという行動は、疲れた体を癒すための当然の生理現象だといえるでしょう。
ではなぜ、たくさん寝ないと回復できないほど、HSPの人は疲れてしまうのでしょうか。
敏感過ぎて疲れやすいHSPの気質
HSPを提唱したアメリカの心理学者アーロン氏によると、HSPの主な特徴は以下の4つです。
- 思慮深く、深く考えてから行動する
- 刺激に敏感で疲れやすい
- 人の気持ちに振り回されやすく共感力が高い
- 鋭い感覚をもち繊細なことにも気づく
HSPは、1つの事象に対して処理能力が深く、いろんなことを考えて頭はフル回転です。また、日常生活の1つ1つの刺激に対して敏感に反応してしまうのです。
自分よりも他人のことを優先したり、相手がどう思うかを考えて行動したり、共感力が高いので自然と場の空気を読んだりして、気づいたら神経がすり減っていることも。
やっかいなのは、自分でも気づかない無意識のレベルで刺激に対して敏感に反応してしまうこと。無意識なので防ぎようがなく、気づいたらぐったり疲れている…ということになりがちなのです。
>>【徹底解説】HSPとは?特徴・診断方法・発達障害との違いなど【繊細なあなたへ】
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HSPと睡眠の関わり
前述したように、HSPは人より繊細で疲れやすい気質をもっているので、回復するためにたくさんの睡眠や休息を必要とします。
睡眠には「朝型・夜型」といったタイミングに関するクロノタイプというものがありますが、ここでは「睡眠時間の長さとの関係性」を見ていきましょう。
睡眠過多タイプ:ロングスリーパー
前述したようにHSPには「ロングスリーパー」が多いともいわれています。
ロングスリーパーとは「1日に9時間以上の睡眠が必要な人」のこと。平均睡眠時間が7時間だとすると少し多いと感じますよね。
しかし、人よりも睡眠時間が多く必要だからといって、病気というわけではありません。
睡眠で重要なのは、時間の長さよりも目覚めたときの熟睡感。「しっかり寝た」という実感があって、日中に眠気や倦怠感を感じないなら睡眠時間が十分に取れているといえるでしょう。
睡眠時間が長いと、他の人からは「さぼっている」「怠け者」のように映ることもあります。周りの人に理解されにくいことから、睡眠について相談するのも難しく、他の人の目を気にして不安になったりストレスをため込みやすくなってしまうことも。
睡眠時間がしっかりとれないと、免疫力が低下して体調を崩しやすかったり、情緒不安定になりやすかったりするなど、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。
疲れた脳を休ませる必要があるがある人も、たくさんの刺激を受けて日常的に眠りが浅くなってしまっている人も、睡眠の質をカバーするために長い睡眠時間が必要なのです。
もしも、十分な睡眠をとっているのに日中強い眠気を感じるなど、日常生活に支障をきたす場合は「過眠症」など他の睡眠障害の可能性も考えられます。
よく眠れないタイプ:ショートスリーパーと過覚醒
ショートスリーパーとは「1日に6時間未満の睡眠で十分な人」のこと
実はHSPの中には、ショートスリーパーの人もいます。この場合、過覚醒が原因となっていることも。
では、過覚醒とはどういうことなのでしょうか。
ショートスリーパーは、6時間未満の睡眠でも十分に健康を保てる体質をもっています。レム睡眠といわれる脳の眠りが浅い時間が少なく、深い眠りであるノンレム睡眠の時間は普通の人と同じです。
そのため、睡眠時間が5時間以下の日が続いても、日中眠気が襲ってくるなどの症状はなく、健康上も問題ないことが特徴です。
一方で、前述したロングスリーパーは眠りにつくまでに時間がかかり、浅い睡眠を繰り返す傾向にあります。
HSPだからといって、みんなロングスリーパーとは限りません。人それぞれ住んでいる環境や特性は異なります。
中でも、ちょっとした物音や光に敏感に反応してしまい、よく眠れない人や、寝つきは良くても眠りが浅く、すぐ起きてしまうHSPもいます。
HSP特有の深く考える気質が影響し、日中に起きた出来事や考えごとが頭から離れず、寝不足気味になることもあります。
HSPがぐっすり眠れる方法7選
では、ぐっすり眠るためにはどんな方法があるのでしょうか。
ぐっすり眠る「快眠」とは「心地よく眠れている又はぐっすり眠れている状態」のこと。
快眠で得られる効果は、翌朝目が覚めたとき「気持ちがリフレッシュできている」「心身の疲れがしっかり取れている」ことなどが挙げられます。
これらの効果が得られていない場合は、快眠できていないといえるでしょう。
快眠できていない状態が続くと、次のようなリスクが生じる可能性があります。
- 注意力が低下し、仕事でのミスが増える。
- 疲労が取れてないため体の不調が起きる
- うつ病といったメンタルの病気につながってしまう
HSPで「よく寝れているのになかなか疲れが取れない」と感じている場合は、眠りの質がよくないのかもしれません。
ここでは、HSP気質をもつ人がぐっすり眠るための方法を7つご紹介します。
①自分に合った寝具を取り入れる
肌ざわりのいいパジャマやシーツ、自分に合った枕やベッドなど。
自分に合った寝具は睡眠の質をグッと改善してくれます。
HSPは、音や光にも敏感に反応するので寝室の環境も大切です。遮光カーテンにしたり、耳栓やアイマスクを使うなど工夫してみましょう。
ただし、アイマスクで光は遮断されたもののアイマスクそのものの存在が気になって眠れない、寝具の生地を変えたものの肌ざわりが変わってしまい眠れない、などが生じる可能性も。
他の人が使っているからといって自分にも合うとは限りません。
自分に合う素材や状態、匂いなどいろいろ試しながら、睡眠環境を整えていきましょう。
②アロマグッズを使う
ゆらゆら揺れるキャンドルの炎。
アロマキャンドルは香りはもちろん、その炎の1/fのゆらぎで心が落ち着きます。
キャンドルの灯りは、副交感神経を刺激して、脳と体をリラックスした状態に導いてくれますよ。
ただし、アロマを利用してみたものの、匂いが気になって眠れないということも。
冒険して新しい匂いにチャレンジするのは次の機会にして、安心する「いつもの香り」を選ぶようにしましょう。
③就寝時間を決める
人間にはサーカディアンリズムという体内時計をもっています。昼間は活動し、夜は眠りにつくというリズムを繰り返しています。
実は人の体内時計の周期は約25時間、地球の周期と1時間のズレがあります。朝の光は体内時計を早め、夕方の光は体内時計を遅らせるといわれています。
そのため、朝は一定の時間に起きて太陽の光を浴び、一定の時間に眠ることで体内時計を正しい周期に導くのです。
よい睡眠のためには「朝起きる時間」「寝る時間」を決めて規則正しく生活することが大切です。
④夕食は寝る3時間前までに消化の良いものを
食べ物を消化するには数時間かかります。夕飯は少なくとも眠る3時間以上前に食べるのが理想。
眠る前、体は深部体温を下げることで休息モードに突入します。
寝る直線に食べてしまうと、眠っている間も消化器官が働かなければいけない状態になり、体内の体温が下がりにくくなって眠りが浅くなるのです。
タンパク質や脂肪を多く含む食物は消化が遅く、胃腸にも負担がかかるので、どうしても食べたいときには消化の良いものを意識してみてくださいね!
⑤お風呂にゆっくり入って体を温める
前述したように、よい眠りのためには体温の低下が重要。
体温を下げるためには、お風呂で一旦体温を上昇させるといいのです。
入浴することで体全体が温まり体温が上昇、血管がひらいて熱が発散されやすくなり、結果として体温が下がります。
おすすめは39℃~40℃のぬるめのお湯に10分~15分。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで副交感神経を優位にし、リラックス効果を生んで寝つきがよくなります。
⑥寝る前はスマホやテレビを見ない
せっかく入浴でリラックスしても、スマホを眺めていたり、明るい部屋で過ごしてしまっていては体が睡眠モードになりません。
- スマホやテレビは見ない
- 部屋の灯りを落とす(強い光をさける)
この2点を意識していきましょう。
蛍光灯の灯りは睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌を抑制してしまいます。間接照明などで暖色系の灯りにすることもポイントです。
⑦頭の中をからっぽにする
HSPはあれこれ深く考える気質。日中起こった出来事など頭の中をぐるぐる周り始めるとなかなか眠りにつけない…それどころか、ますます頭が冴えきてしまうこともありますよね。
そこで、おすすめなのが「紙に書き出す」こと。
今日あった出来事、気になっていること、何でもいいのです。今、頭の中にあることをひとまず全部紙に書き出す。
そうやって一旦頭の中から外に出してしまうと、モヤモヤが少し解消されるのです。
また、文字にすることで、その出来事を客観的に捉えることもできますよ。
まとめ:よく寝ることはHSPにはとても重要
HSPは日常生活でたくさんの刺激を受けて疲れやすい気質です。だからこそ、眠ることで心身を回復をしているのです。
たとえ、他の人より眠りすぎているからといって問題はありません。必要以上に自分を責めたりしないで下さい。
良質な睡眠は、心身共に健康に生活する上でとても大切だということを忘れないでくださいね!