近年、“HSP”という呼称や繊細で敏感な気質を持つ人の存在が世間でじわじわ認識され始めています。
一方で、HSPと同じように認知度を高めている“大人の発達障害”と呼ばれる特性やさまざまな種類の心の病との違いにとまどう方も多いようです。
今回の記事では、HSPに関心がある方へ向けて以下をご紹介します。
- HSPの正しい知識
- HSP気質と似ている疾患や障害との違い
- HSPへの向き合い方
あなたが持つ疑問を解決するヒントになれば幸いです。
HSPとは?大人になってから現れる?
そんな感じのざっくりしたイメージが世の中で広がってきているね!
もっと深く知ってもらうためにHSPの基本的な特徴を紹介していくよ!
HSPは「生きづらさ」や「疲れ」を感じやすい
HSPとは“Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)”の略称で“とても繊細で敏感な人”という意味です。
アメリカの心理学者のエレイン・アーロン博士により1996年に提唱された概念です。
HSPは人口の20%(5人に1人)の割合で、多くは職場や家庭において気疲れしやすく生きづらさを感じています。
生活で起こる些細なできごともHSP気質によって、不安要素となり事態を深刻に考えすぎて疲れてしまいます。
HSPの特徴
アーロン博士によると、HSPには以下の4つの特徴があります。
- D:思慮深い、深く考えてから行動する(Depth of processing)
- O:刺激に敏感で疲れやすい(Overstimulated)
- E:人の気持ちに振り回されやすく共感力が高い(Emotionally reactiv and Empathy)
- S:鋭い感覚を持ち些細なことにも気づく(Sensitivity to Subtleties)
それぞれの頭文字をとって「DOES」(ダズ)と呼ばれ、HSPを正しく理解する上で、とても大切なポイントです。
4つの特徴をみると、HSPにとって日常生活がいかに刺激に溢れているかわかりますね。
HSPは大人になってから表れるの?後天性?
HSPは後天的に表れる気質ではありません。
生まれつき“繊細で敏感な気質”を持った人をHSPと呼びます。
生活環境や人間関係など外からの影響でHSP気質が表れることはありません。
HSPの方は思い返すと、子どものころや物心ついたころから、自分と周囲の言動や考え方のズレに違和感がありませんでしたか?
HSPの診断について
HSPは心理学上の概念であり、病気ではありません。
現時点では医学的な診断も行われておらず、治療法も薬も存在しません。
>>【5分でHSP診断】HSP気質か簡単セルフチェック!自分の繊細さがわかる
医学的な治療はできませんが、以下の3点が現時点での適切なHSPの治療法と言えるかもしれません。
- HSP気質や自身の特性について正しく理解を深める
- 自分に合った生きづらさの対処法を知り、実践する
- 自身で対処できない場合はカウンセリングや認知療法を介して相談しながら改善を目指す
HSPと似ている疾患や障害とは?
HSPと同じような生きづらさを持ち、混同が起きやすい発達障害や心の病との違いを知っていきましょう。
HSPと発達障害の特徴
刺激に敏感で、興味・関心に深く集中するなど、発達障害にも一部分、HSPと似た特徴があります。しかし、本質的には異なるものです。
発達障害は“脳機能の働き方や性質の偏り”が原因で表れる特性であり、医学的な定義で「疾患」とされています。
一方、HSPはあくまで気質を表す心理学的概念です。医学的な根拠はありません。
HSPとうつ病の違い
HSPとうつ病の違いも“気質”と“病気”です。
うつ病は人間関係や環境によるストレスから後天的に発症します。精神医学においても病気と定義されています。
一方、HSPは先天的な気質なので、うつ病のように生活のストレスから急に外交的な性格が内向的になるなどの変化は起こりません。
HSPによくある悩み
HSPも人によって感じ方はさまざまです。
自分が実生活でどんな悩みを感じるか意識するのはHSP気質を受け入れる上でとても大切です。
HSPの日常でよくある悩み
- 人混みが苦手
- 他人の些細な言動を深く考え込み傷つく
- 人の気持ちや場の空気を読んで気疲れしやすい
- 大きな音、強い光や匂いに敏感に反応してしまう
- 暴力的な内容の映画やTV番組が苦手
HSPの仕事でよくある悩み
- 複数の業務を同時にこなす場面で混乱する
- 監視や競争の制度があると緊張で実力を発揮できない
- 怒られている人に共感し自分もダメージを受ける
- 転職や人事異動など環境の変化に困惑する
- 忙しい状態が続くと暗い部屋やベッドの中など刺激の少ない場に1人でこもりたくなる
>> HSP「あるある」で自分の取扱い方を理解して生きづらさをなく ...
HSPと向き合うために
HSPは自分自身の気質を受け入れることで、生きづらさが軽減されます。日々の意識を少し変えると気質をうまくコントロールできる自分に近づけるでしょう。
HSP気質を日々に活かす
自分自身のHSP気質を日常でうまく活かせると
生きづらさ解消につながりやすいです。
例えば下記のような考え方ができませんか?
- きめ細やかな気遣いを活かして多くの人の好意を呼び込み人間関係を充実させる
- 慎重さを活かし物事を見極め、周りが気づかない問題点を示してミスを防ぐ
- 豊かな想像力を芸術的才能に活かし創作する
HSP気質は優れた長所になりえるのです。
生活や仕事で能力を活かす選択ができると、生きやすい環境が整ってくるでしょう。
>> HSPの長所は?仕事・人間関係・日常で活きるメリットを紹介
ストレス発散を大切にする
HSPは日常的に気疲れを感じやすく疲れを蓄積しがちです。ストレスを”こまめ”に、そして“早め”に対処する習慣を身につけましょう。
例えば、以下のように、気軽に取り組めることがオススメです。
- 散歩やジョギングなどの軽い運動
- 自然や動物とふれあう
- 楽器を演奏したり歌を唄う
- ゆっくり入浴する
- 信頼できる人とのんびり話をする
人それぞれに適したリフレッシュ方法があります。
生活の中で興味を感じたことを1つずつ試して、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
まとめ:HSPは生まれつきの個性です。
これからもずっと付き合っていくからこそ、自分の気質をしっかり認めて大切にしていきたいものです。
気質をうまく操縦できるようになれば、自分の居場所や世の中をみる視点がもっと広がる気がしませんか?
ゆっくり、HSPを理解し、自分と向き合い、心地良い生活づくりを目指していきましょう。