まずはインタビュー動画をチェック!
「HSPの人は、自分の気持ちを相手に伝えられない人が多い印象です。相手にどう思われるのかを深読みしてしまい、自分の気持ちを上手く表現できないんですよね」
そう話すのは、もこもこ運営メンバー代表であり、自身もHSS型HSP気質をもつ、つむぎさん。
つむぎさんは、「HSPの人がツラくなったら戻って来られる場所をつくる」ことを理念に掲げ、”もこもこ”(幼少期を一緒に過ごした愛犬)を通して、2021年9月からInstagramやTwitterを中心にHSPについての情報発信を始めました。
2022年4月現在、もこもこのInstagram総フォロワーは約3.1万人。Twitterのフォロワーも2000人を超えています。
Instagramのアカウントでは、HSPだと知れて楽になった、発信をみて救われたと多くの声が寄せられています。
つむぎさんがなぜ、”もこもこ”として情報発信をはじめたのか、HSPの人が自分と向き合うために必要なことも併せて、お話を伺ってきました。
みんなみたいに生きられない
もこもこ運営代表であるつむぎさん!もこもこの活動をスタートしたきっかけを教えてください。
自分と同じHSPの人たちと繋がるために、Twitterのアカウントを開設したことがはじまりです。
Twitterでは、HSP気質を持つが故にでてくる悩みをフォロワーさんと共感し合ったり、こんなときはどうしてる?と話をしたりして交流をはかっていました。
しばらくして、フォロワーさんの一人が「HSPに関する情報発信をしてみたらどうですか? 」と声をかけてくれたんです。
正直、私がHSPに関して情報発信をするなんて思ってもいませんでした。
ですが、「自分がHSP気質で悩んだこと、考えたこと、対処していることを含めて発信することで、誰かの救いになれれば嬉しい」と徐々に考えが変わっていきましたね。
この思いに気付いてからすぐに、飼っていた愛犬のイラストを描きはじめ、「HSPは病気なの? 」といった内容をInstagramで投稿しはじめました。
HSPの方との交流からもこもこの活動がはじまったのですね。
HSPという言葉に出会ったのはいつでしょうか?
会社員からフリーランスになったばかりの頃に、HSP気質について知りました。
当時の私は、IT企業を退職しフリーのマーケターとして仕事をしていたのですが、会議の後に疲れ切って寝込んでしまう日もあれば、一気に複数の物事に取り組もうとする活発な面もあったり……。
「よく分からないけど、なんだか生きづらい」と感じて、モヤモヤしていました。
どうにかして解決する方法はないのかと考え、そこで初めて自分の症状や状態をネットやYouTubeで検索したところ、HSP気質という言葉に出会ったんです。
つむぎさんは、具体的にどんな生きづらさを感じていたのでしょうか?
私はHSS型HSPで刺激を追求する気質のため、一度に色々なことに興味を持ち取り組みます。
その一方で、仕事や予定を詰め込みすぎて疲れてしまったり、周囲の些細な言動を気にしすぎたりと自分の二面性に悩むことが多くありました。
私の様子をみた人達からは、「そんなに一気にやろうとしなくていいんだよ」とか「周りの反応を気にしすぎだよ」など声をかけられることが増えてきたんです。
「あれ、自分って他の人とちがうんだ」と気付いたのと同時に、「みんなみたいに生きられない」とも思いました。
みんなみたいに生きられない……。
刺激を求めない生活も生きづらいと思うし、周りのペースに合わせて生活することも難しいと感じたんです。
刺激を求めないと生きづらい、かといって刺激だらけでも疲弊する……。
この特徴は、HSS型HSPあるあるだと思います。そしてこの生きづらさは、子どものころから感じていました。
どんなお子さんだったのでしょうか?
人に勧められて物事に取り組むものの、頼ったり甘えたりすることができず、無理して抱えこみ落ち込んでしまうような子どもでしたね。
学生時代の私は、部活動に加えてクラブチームにも所属していたので、週7日運動漬けでした。
毎日休みなく動き続けた体は、どこを見ても傷だらけ。
「いますぐ、辞めて逃げ出したい」そう思った回数は、数えきれません。
ですが、「親が一生懸命応援してくれているから、頑張らなきゃ! 」と悲鳴をあげる体に必死でテーピングを巻き付け、泣きだしたい気持ちに蓋をして、期待に応えるために努力し続けました。
その結果、部活動とクラブチーム両方の中心選手になったのです。
両方でエース!周りの期待もさらに高まりそうですね。
そうなると、つむぎさんの体も心もよりつらくなってしまいそうですが……。
そうですね。毎日自分に「大丈夫! 」とエールを送っていました。
チームメイトや監督など、誰かに「つらい」と打ち明けることはできなかったのですか?
誰かに頼りたくて甘えたくて仕方がない気持ちがあったのに、「辛いと伝えたら、周りの人たちに失望されるのでは」と思い込み誰にも言えませんでした。
「失望されたくない」から、周囲の期待に応えなければと思っていたのですね。
毎日一緒にいるチームメンバーの雰囲気はどうでしたか?
当時所属していたクラブチームは、監督含め、みんなで和気あいあいと助け合いながらやろうといった雰囲気ではなかったんです。
ただでさえ、周りの雰囲気を察知する能力が高いHSP気質を持つのに、そのような環境にいたら「つらい」なんて口が裂けても言えない……。
誰にも頼れず弱音を吐くことも許されない、学生時代は甘えられない環境に身を置いてましたね。
頼る・甘える・任せるは、人への信頼の証
強さをひたすら求められる環境だったのですね……。
今のつむぎさんがいる環境はどうでしょうか?
お願いしますとお伝えしたら、協力してもらえる環境に変わりました。
社会経験を積むなかで、周囲の人に頼らず、一人で仕事を進めていくことに限界を感じたことをきっかけに、頼ることを意識しています。
頼ることを意識。学生時代とは180度違いますね!
周囲の人に頼るようになったきっかけはありますか?
会社員時代にリーダーとして、チームマネジメントを任された経験がきっかけです。
当時の私は、学生時代からの「一人で頑張るべき」という意識が抜けず、振られた仕事はすべて一人でこなしていました。
それで何とか仕事を回せていましたし、自分の実力もどんどんついてきて楽しく仕事をしていました。
ですが、チームメンバーから「つむぎさんは、なんでも一人でやろうとしますよね。信用してくれていないのですか? 」と言われたんです。
それはつらい……。
衝撃でした。
そのように思わせてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいになりましたし、メンバーの悲しそうな顔は今でも忘れられません……。
この経験から、「頼らないことは人を傷つけてしまう」と学び、そこから頼る・甘える・任せるを意識し始めました。
HSPの人は、誰かに甘えたりお願いをすることが苦手ですよね。
そうですね。現に運営メンバーの子たちも、頼ったり、お願いしますと言える子たちのほうが少ないと思います。
やもちゃんも、思い当たる節があるんじゃないかなと(笑)。
うっ(笑)。その通りです……。
お願いするのは、勇気がいりますよね。
別に信用していないわけではないけど、相手に負担をかけてしまうと感じ、申し訳ないと考えてしまう。
まずは、お願いしやすい環境に身を置くことが大切だと思います。
お願いしやすい環境ですか?
言い換えると、互いが相手への思いやりを持ってコミュニケーションを密にとる環境のことです。
相手の気持ちを想像することは大切ですが、「相手がこう思っているはず」「迷惑なんじゃ……?」と考えるのは、単なる思い込みかもしれないですよね。
互いが思っていることを、思いやりを持って伝え合う環境に身を置くことで、不思議と「頼っていいんだ」「甘えていいんだ」と思えます。
たしかに……!
HSP気質の人は、頭の中で自己解釈して抱え込むこともありますよね。自分の中で消化せず、相手に気持ちを確認することが大事なのですね。
そうすることで、自然とお願いもしやすくなってくる……。
HSS型HSPこそ、話し手に回る
つむぎさんが、お願いをするために意識していたことは何でしょうか?
話し手に回ると決めていました。HSPの人たちは、自分の意見や考えを言わずに聞き手に回る人が多いですよね。
ですが、最後まで聞き役に徹しすぎて自分の考えを言わないと、相手に何も伝わりません。悲しいことに、「あの子は何も考えていないんだな」と思われる可能性もあります。
自分の考えや思いは言葉にしないと伝わらないですもんね……。
そうですね。
いま悩んでいることや課題に感じていることを、少しづつでも言葉にして発信していくと、共感してくれる人が現れたり、こんな解決法があるよと手を差し伸べてくれる人がでてきます。
自己紹介していくイメージで、自分の気持ちを少しづつでも伝えていくことが大切です。
聞き手から話し手に回ることへの変化はどうでしたか?
効果絶大ですよ(笑)関わる人間関係が大きく変わりました。
”自分の話を聞いてもらえる”という成功体験を重ねられたのが大きい要因だと思います。
チームマネジメント時代の経験を教訓に、頼ること・自分の気持ちをしっかり伝えることを意識しはじめたので、家族からも、「大人になってから、つむぎが何を考えているのかやっと分かったよ」と言われましたね。
つむぎさん自身は周りの期待を背負い、物事に取り組んでいたけれども、家族からしたら「何を考えているかわからない」と捉えられていたのですね。
つらいことや苦しいことがあっても、自分の中で抱え込んでいたので、周囲からしたらよく分からないと思われてしまうのは、仕方がないと思います。
何も言わないから(笑)
私もHSS型HSPですが、思いを口にするのは苦手です……。
とくにHSS型HSPの人は、話し手に回ることを大事にしたほうがいいと思います。
刺激追及型であちこちに興味が湧く気質は、時には自分を追い込んでしまうことがあります。
そのようなときに、周囲にアドバイスや助けを求めたり、考えを一緒に整理したりすると気持ちが落ち着きますよね。
自分の思いを相手に伝えることで、現状は動き出すと思うので、信頼できる相手に気持ちを伝えて欲しいです。
自分らしさをみつけるきっかけに
HSS型HSPで刺激を求める人は、自分の気持ちを発信して話し手に回る。参考になります……!
つむぎさんがもこもこの活動を通して、広めていきたいことを教えてください。
もこもこはHSPの方々にとって「ツラくなったら戻ってこられる場所」です。
この場所で、自分の気持ちを少しづつ表現したり、ネガティブな気持ちになる自分を許してみたりと自分がどんな思いを抱えているのかを表現してほしいです。
もこもことの関わりを通して、”自分らしさ”を見つけてほしいなと思います。
運営メンバーも、HSPの方が”自分らしさ”を見つけるお手伝いをしていきます!